AA-30

と、ある方と話をしていたら、外気温を測る話題になった。温度センサーは白金抵抗体を使って いるとか。古風ですねぇ。今なら半導体の温度センサーでしょ。例えば こんな説明が有って こんな製品群が 有ったりします。

それなのにそれなのに、何故白金抵抗体を選んだんでしょうか? 一度、設計者の方にお目にかかって 話を聞いてみたいものです。分解能が必要なんで、本当は水晶型のセンサーを使いたかったんだけど、金額が張る ので白金にしたんだ、なんて言われたらどうしよう?

白金抵抗体を使う場合、普通ブリッジを組んでその一辺にセンサーを接続しますよね。そんでもって、 ブリッジの中点から差動電圧を取り出し、バランスの崩れ具合を温度に換算するんだったよね。 ちと、大掛かりだなあ。でも、昔はこれがスタンダードだったんだよな、と遠い目をしてみる。

嗚呼、スタンダードと言えば、熱伝対もスタンダードだったな。異種金属を2点で接続した場合、2点 間に、温度差があると起電力が発生する。この電圧を測定する事により、温度差が分かるという仕組みだ。 CAとかCCとかICとか金属の組み合わせによって起電力も違うし測定温度範囲も異なるんだっけな。 懐かしいな。今でも現役かな? 最近は赤外線カメラみたいなのが好まれるのか能?

とまあ、こんな事を書いていると歳がばれますな。

AA-30買ったよ

『不足が不足している』と牟田悌三さんが言ったそうな。何やら禅問答みたいだけど。今は充実しすぎて いるって事ですな。今のがきんちょは、何でも親に買ってもらえるので、自分で工夫してどうのってのが 無くなってるんですね。

おいらの頃は、遊びと言ったら自分らで工夫したもんだ。道に落ちてる釘を拾ってきて、広場で陣取り 合戦をしたり、地面に漫画と言うか似顔絵を描いたり。山へ遊びに行けば、あけびを見つけて食べた後 蔓を編んでロープにしてターザンごっこしたり。。とにかく、有る材料で遊びを工夫したもんだ。 と、また、歳がバレバレですな。

でも、昔と今は時代が違うよ と言われそう。ハムと言う遊びを始めて、自作リグはもう無理と悟った んで、取りあえずはリグだけは用意した。そうなると、後はアンテナか。これなら図体もデカイので 多少目が悪くても自作できるな。アンテナの製作雑誌を見ていると、SWRメーターを作ってみましょう とか、ディップメータを作りましょうとか、測定器の自作記事も一緒に紹介されたりする。

仮に自作しても、こういう測定器の類は、目盛りを入れてあげないと使い物にならない。 『仏作って魂入れず』って昔から言われてるな。

発振周波数を 確認する為にカウンターを用意(自作しろって)したり、100歩譲って、ゼンカバレシーバーを使って、周波数を確認して 目盛りを入れるのも、何だか超遠回りのような気が。

で、『不足が不足している』と言う禅語をちょっと忘れて、アンテナ自作に役立つ測定器を1台だけ用意 する事にした。余りいろいろな物を用意せずに、これだけってやつをね。気分は、 ”無人島に1冊だけ本を持って行くとしたら、あなたなら何を選びますか?”と言う問いと一緒だ。

本の方はともかくとして、おいらはアンテナアナライザーにしたんよ。 RigExpert AA-30/AA-54。CQ誌に紹介 されてたやつね。30MHzまで測定出来るAA-30にするか、54MHzまで対応してるAA-54にするか、ちと 迷ったけど、このあたりでは、6Mの交信を一度も聞いていないので、50MHz帯はいいやと諦め、HFだけを カバーしてるAA-30にした。

AA-30/54は、先輩格のAA-230/500等からアンテナ調整・検査に最低限必要な機能のみを取り出して 再構成した、普及版と言う位置づけだ。(その分安いのが魅力!)

注文した翌日には届くというスピーディさと質問メールにも即回答いただけるというサポートの 良さが嬉しい。

なお、出荷案内のメールに、こんな一文が有ったよ。

*アンテナ・アナライザー使用上の「ご注意」!
PCのシャーシをアースしないでPCモードでアンテナの測定をすると
RF出力アンプが壊れる事があります。取扱説明書5ページの注意書と
ソフトウェア取説2ページの注意書きををよくお読み頂きまして、
静電気またはPCアースなしが原因のデバイス破壊を起こさないように
十分なご配慮をお願い申し上げます。

機能・性能比較表を見ると、保護回路が省略 されてて、かつ出力回路がCMOSチップとなってるな。これゆえ、間違った使い方をするとパソコン 経由でAC100Vが回りこんで、チップが破壊されちゃうんだな。 こういう測定器はえてして、静電気に弱い事になってるから、注意せんとな。特に空気が乾燥するこの 時期は、お肌にも悪いし測定器にも悪いと肝に命じておこう。(お肌の方は女房からの助言。オリーブの 島なら、きっとお肌しっとりでいいんでしょね。)

もう一つ注意があった、雷様にも勝てないな。FT-817のファイナルが昇天するのは、アンテナから雷様が やって来るためとか。だから、アンテナは直流的にショートしてるのがいいって。避雷針みたいなアンテナは 雷様を呼び寄せてるんでダメだって。ミッターの代わりに、アンテナアナライザーをアンテナにつなぐ 事もあるんで要注意だな。ああ、北国は、冬にも雷様がやってきますんで。来ないと春にならないし。

AA-30レビュー

早速使用感をレビューしようと思うんだけど、こういうのって言葉で説明するよりも、 『百聞は一見にしかず』だなあと思う次第であります。

リグエキスパートジャパンの新型アンテナアナライザ「AA-30」の使用レポート が、動画で出ていました。

勿論、LCDに表示させるだけではなく、USB経由でPC上にもグラフを残せます。 AA-54 アンテナアナライザー レビュー! (AA-30では、使えない機能も紹介されてて、ちょっと嫉妬しちゃうぞ)

CSVでもデータを取り出せるようなので、後はgnuplotなりRなりEXCELへ輸出するのも自由自在。

動作原理はどうなってるんよ

初めてオシロスコープを使った時、見えない電気が見える! と感激したものだがそんな感動もつかの間に、動作原理は どうなってるの? と、マニュアルを繰った覚えがある。AA-30も、動作原理はどうなってるの? マニュアルを 繰ってみたけど、何も見つけられなかった。ちょっと寂しいな。

探してみたら、ブロック図が見つかったよ。 ブロック図

同ページを見て、Settingメニューの2ページ目にある、抵抗ブリッジのレベルチェック(メーターテスト) の意味する所がやっと分かったよ。発信機が2つあるんで、それぞれの発信機の出力レベルを確認 してるのね。発信機1は、M型コネクタに繋がっているんで、(アンテナ側の)負荷状態によって レベルが変わってくるとな。無負荷の場合(No Load)には、出力レベルが高く、負荷として50オームを 付けた時は、それなり(バーの範囲内)になってる事を見てるんだな。

発信機2側は、外部負荷に関係なく50オーム時のレベルになるはず。出力Ampが壊れたり(劣化は まず無いだろうけど)すると、出力が異常になるんだな。故障原因の大半はこれで判定出来るとな。

ブリッジの基準点とアンテナ側をスイッチで切り替えて、電圧を測定(A/D変換)し、結果を引き算 すれば、ブリッジの不平衡度合いを検出出来る。昔は、この部分を差動Ampでやってたけど、今だと こういう芸当が出来るのね。

スイッチは、コントローラからの指令で切り替えているけど、リレーじゃ無くて半導体SWだな。ダイオードかも 知れないし、FETかも知れないし、はたまたICかも知れない。誰か分解写真を公開しないかな?

スイッチの後にはミキサーがあって、1.7KHzに落としているな。これぐらいの周波数なら、マイコンに 搭載されてる A/Dでも十分に測定出来ちゃうな。最初、検波回路や積分回路が無いのを不思議に思ったけど、 この方法の方が楽だわな。デジタルなら積分は足し算で済んじゃうしね。検波も半波だけでいいなら プラスの値だけを取り出せばいいし、全波整流なら、値の絶対値を取ればいいから簡単だな。 昔、オペアンプを使った検波回路とかやった覚えがあるけど、今はこういうの古風な部類に なっちゃったのね。

ミキサーはひょっとしてダイナミックレンジを稼げるダブルバランスドミクサーかなあ。フェライト コアを使ったDBMの解説、『トロイダルコア活用百科』で、著者の方が絶賛してたな。

AA-XXの売りに Z = R + jX の、Xが誘導性もしくは容量性を検出出来る機能があるけど、誘導/容量を どうやって判定してるんだろう? 普通に考えると、誘導性なら、周波数が上がればXは大きくなり、容量性 なら、Xは小さくなる。

X = 2πfL
X = 1 / 2πfC

fをちょびっと変えて、判定してるのかなあ? それって馬鹿っぽい方法だな。きっとヒントは 発信機にあるに違いない。AD9833 あたりにヒントが隠れて位相。技術資料もいろいろあるようなんで、読んでみるかな。

この石、デジタルの入力はシリアルでちょっと面倒くさそうなのにアマチュアにも人気があるのね。 ソフトウェアラジオのキーパーツ として使っている人や実験してる人も居た。秋月のDDSキットが この石を使ってるかどうかは調べていないけど、 PIC用のソースが公開されてた。

後は、アトメル社製 8-ビット RISCマイコンだな。これってひょっとしてPICの親分かな。 製造元へ行ってみたら諸元が 分かった。電源電圧が4.5Vから5.5Vって書いてあるけど、単3電池2本でも動くのかな? 人事ながら ちょっと心配になるぞ。電圧が低いと16MIPSは出ませんと言うだけかなあ?

昔、とある機械の修理で全国を行脚してたら、土建屋(と言うかダムの現場)さんに呼ばれた。 100Vで旨く動かなかったんで、元気が出るように200Vを喰わせてみたら、それ以来ウンとこスンとも 言わなくなったと言われて目が点になっちゃった覚えがあるな。で、寒いからこれでも飲め と言われて、茶碗に入ったウィスキーを勧められたのには2度びっくりしましたよ。 住んでる世界が違うと、こうも世界感も違うのねと納得。

サマリーシートを見たら、2.7Vから動作するパッケージも出ているのね。動作時でもIddが1mAと言う 低消費電流か、携帯機器にはぴったりの石だ事。あらら、2.7Vから5.5Vまでが動作範囲ですって。 動作範囲が広いって、偉い石だな。やっぱり現場に持っていくにはこうでなくちゃ。

RISCと言うだけあって、8Bitのレジスタ(決してアキュムレータとは言わない事。歳がばれるから)が 32本有って、そのうちの後ろの方のレジスタを2本連結して、16BitのX,Y,Zと呼ぶレジスターが使えるんだな。 割り込みベクターは21種類もあるのね。そのほとんどが、内蔵してるペリフェラルに関連してて、 やっぱりPICの親分と言う風格がするな。親分と言うからにはA/Dも積んでて、変換スピードはは最速で 16uSか、結構早いな。

最近のトランジスタ技術は、H8もいいけどARMも面白いよなんて特集をやってる。ARMも面白いけど アトメルも面白いよと言って特集やらんかね。で、アトメルの実装実例は、複素数の扱いね。外部の ペリフェラルは、DDSとかのコントロール。ついでに、アナログ要素も追加して、ミキサーとか フィルターも一緒に扱ってくれたら、何年かぶりに虎儀を買ってもいいな。そんなの無理だから、次号の CQ誌を待て。

受け入れ試験

いつまでもグダグダしててもしょうがないので、受け入れ試験の後、使ってみよう。

付属品は、日英のマニュアル(本体とソフトで分冊になってる)とCDと単3電池2本。 本体裏のカバーロックを外して電池を入れる。カバーがスライド式のロックになってるのは珍しいな。 原産国はどこかと思ったら、ウクライナですって。設計思想が日米とは違うのね。 きっと、アナライザーを持って、高い鉄塔に登った時、何かの拍子に蓋が外れて電池が落下しない ようにと言う配慮かしら?

だったら、ストラップ(の取り付け口)も取り付けられる配慮が欲しいぞ。まあ、おいらは鉄塔に登るなんて事は 無いだろうから心配無用ですけど。(← 鉄塔を持ってないひがみ根性丸出し)

電源をいれるとファームのバージョンを表示後、メインメニューが出てくる。メニューを番号で指定 するんだな。早速、0.Seting を押すと、バックライトを付けるだのサウンドを停止させるだのとか 50/75オームのどっちがいいとかを設定する画面になる。

決定は、ok-applyとか書いてある。applyなんて 表現はなかなか見かけないぞ。そのうちに、測定はevalなんて出てきたら、きっとLispに狂った人が 設計したに違いない。ええ、おいらは好きですよ。applyが裏の顔でevalが表の顔ですもん。って、普通の 人はこんな事言われたって、笑えんわな。

Settingの次のページへ行く。 このページは事故診断のメニューが並んでいる。折角なので、50オームのダミーロードを付けて ブリッジのレベルを測ってみたら、ちゃんと許容範囲のレベルに収まっていたよ。

SHow Allにして、ダミーロードの諸言を表示させたら、SWR: 1.05, Z: 52, R:52, X: 1.5, C: 6000pF と出た。Cは結構ふらついていて、5000-7000ぐらいをパラパラしてる。ダミーロードでC成分ってのは 微妙だなあ。ちなみに、ダミーロードは、FT-817と一緒に購入したダイアモンド製のDL-50Aでした。

次は、ダミーロードを付けたまま、SCAN SWRしてみた。SCAN幅は、15M+-15M フルレンジのスキャンだ。 高い周波数で若干SWRが持ち上がっているな。周波数を29Mにしてから、Show SWRしたら、1.08だったよ。

次は、Scan R,Xしてみた。これは、さすがに50オームの実線一本になったよ。点線のXパートは、中心の ラインに隠れているって事だな。

今回はこれぐらいで、受け入れ検査終了としよう。

不足が充実してる

冒頭の所で、牟田さんが『不足が不足している』って嘆いていたけど、おいらの所では決してその ような事はありません。不足が充実してます。電子部品で持ってるものは、50オームのダミーロード だけ。昔は引き出し在庫を多数抱えていて、税務署の査察が入ったらどうしようと、真剣に悩んだ んですけど、今は綺麗さっぱりです。

折角、L,C,Rメーターがあるんだから、色々測ってみたいもんだ。抵抗でも作るかな。

紙と鉛筆(2Bとかの柔らか目が良いです)と消しゴムを用意します。鉛筆はシャーペンでもかまいません。適当に線を描きます。 はい、それで炭素(黒鉛)転写抵抗の出来上がりです。抵抗値の調整は、線の幅で行います。線を太く 書けば、電気の流れる幅が広がり、抵抗値が低くなります。抵抗値を調整したい時は、消しゴムを 使って線を細くしましょう。消しゴムも立派な、トリミング装置です。この自作抵抗への接続は、 適当なクリップでOKよー。

おいらが小学生の頃、鉛筆の芯の両側にAC100Vを接続して、芯の回りの木が燃えた所で、芯だけを 取り出し、その芯に電流を流して真っ赤になるのを楽しんだものです。まあ、親父にこっぴどく 怒られましたけどね。

次はコンデンサ。電気を貯めるライデン瓶でも作りましょうかね。瓶は口の広いものの方が、工作が 楽でいいです。まず、瓶の内壁に沿ってにアルミホイルを、なるべく 密着して巻きます。続いて。アルミホイルを瓶の外側にもぐるっと巻きつけます。これでコンデンサの出来上がり。 昔、フランクリンさんは凧を揚げて雷様をおびき寄せ、ライデン瓶に雷様を閉じ込めたそうですが、そんな事して大丈夫だったので しょうか?

もっと小型なコンデンサを作りたい時は、アルミホイルの間にサランラップを挟んで、それをくるくるっと 巻いてもいいです。この工作は、きっとOMさんが得意です。回りにいるおじいさんに、しけもくを使った 紙巻タバコって どうやって作るのって聞いてご覧なさい。きっと手際よく実演してくれるでしょう。

高級感を出すなら、サランラップの代わりに耐熱用のクッキングペーパーを 使ってもいいです。これだと、高温環境で使っても大丈夫です。85度品、110度品なんて言ってる 電解コンデンサーも真っ青ですよ。多分220度ぐらいまでなら大丈夫でしょう。

抵抗、コンデンサときたら、次はコイルですね。適当な瓶。1升瓶あたりに電線をぐるぐる巻きつければ 出来上がり。ね、不足が充実してるって楽しいでしょ。

上記の応用で、スーパーラドアンテナが出来ています。アンテナ・アナライザーが有れば、値の 測定は勿論、微妙にこれらを調整して、電波が良く飛ぶアンテナだって容易に作れるでしょう。

楽しくなってきたぞ。下記は参考に

コイル空芯コイルの簡易設計計算

コンデンサプリント基板コンデンサ

抵抗器